“平成22年第1回枚方市議会定例会”初日
今日からいよいよ「平成22年第1回枚方市議会定例会」が始まりました。
初日の今日は「竹内市長による平成22年度市政運営方針の発表」と「平成22年度各予算(案)の提案」がありました。
「竹内市長による平成22年度市政運営方針」(要旨)の全文を以下にご紹介いたします。
ちなみに、この市政運営方針に対する各派代表者質問は3月4日(木)、5日(金)、8日(月)の3日間にわたって行われます。
<竹内市長による平成22年度市政運営方針(要旨)>
はじめに
平成22年枚方市議会第1回定例会の冒頭にあたり、平成22年度の市政運営方針を表明する機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
平成19年9月に市長に就任させていただいてから、早いもので2年5か月がたちました。この間、私は、「根元的な思考」「科学性の尊重」を基本理念に、そして「質実にして果敢」をモットーに、枚方をよりよいまちにしたいという熱い思いで市政運営に全力を注いできました。任期の折り返し点を過ぎ、新年度に向けて、さらにその気持ちを強くしているところです。
★危機管理体制の強化
昨年は、弱毒性ながら感染力が極めて強い「新型インフルエンザ」の感染が拡大し、対応に追われた一年でした。
阪神・淡路大震災から15年の節目を迎えた今年に入ってからも、年明け早々にハイチで大地震が起こりました。また、本市でも一昨年、二度にわたって記録的な大雨による浸水被害が発生しました。
こうした不測の事態が起きたときにこそ、行政としての真価が問われますし、また真価を発揮しなければなりません。
新型インフルエンザや地震・大雨などの自然災害が万一発生したとしても、冷静で的確な判断のもと、迅速かつ柔軟に対応できるよう危機管理体制の充実に努めていきます。
★市民との対話に重点
私は、「市民との対話」を市政運営の基本としており、その一環として、昨年6月から小学校区単位で住民の皆さんと話し合う「地域対話集会」をスタートさせました。校区内を歩いた上で、住民の皆さんとひざを交えて生の声を聞かせていただくことは、市政運営を進める上での大きな礎となっています。地域で出された様々な悩みや課題については、できるものから順次取り組みを進めているところです。
市民生活が厳しくなり、市役所に対する期待がますます大きくなっている今こそ、できるだけ多くの市民の皆さんと対話し、ニーズを的確に把握した上で、幅広い声を市政に反映させていきます。
★平和の推進
本市では、戦前、軍需のまちであったことから、昭和57年の「非核平和都市宣言」や平成元年の市独自の「平和の日」の制定など、他市に先駆けた平和の取り組みを進めてきました。その根底には、市民の平和への強い願いがあったものと考えています。
国際協調、核軍縮の動きが世界的に広がる中で、今年5月にニューヨークで開催されるNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議にあわせ、日本非核宣言自治体協議会の代表団の一員として、広島市長や長崎市長とともに、平和市長会議に出席し、世界のNGOと連携した平和アピール活動にも参加して、枚方市民の平和への願いを世界に届けるとともに、まちづくりの歴史にしっかりと刻まれてきた平和の取り組みをこれからも進めていきます。
Ⅱ 本市を取り巻く状況
昨年は、8月の衆議院議員選挙によって民主党を中心とした新政権が誕生するという政治的変革の一年となりました。その背景には、実体経済と大きくかけ離れた金融バブルの後遺症に世界が苦しむ中、年金や医療制度問題などに端を発する生活への不安感、現状への閉塞感があったように考えます。
今年は、そうした不安感、閉塞感を打開するための具体策を明確に示すことが求められる、新政権にとっては試金石の一年となりますが、本市としても国の動向を注視し、市民生活を守るという視点にたって主張をしていきます。経済不況が長引き、雇用状況が悪化する中で、本市においても、生活保護費などの扶助費が増大し、市民生活は大変厳しいものとなっています。市内の中小企業においても、受注や売り上げが減少するなど、厳しい経営状況にあります。
こうした厳しい時代だからこそ、福祉や教育、都市基盤整備など、市民生活に密着した行政サービスをしっかりと担うという、基礎自治体としての本来の役割を一層果たしていかなければなりません。「市民生活の安心と安定」のため、私自身がリーダーシップを発揮し、職員と一丸となって全力で取り組んでいきます。
一方、地方自治においては、国から地方へのより大きな権限移譲が課題となっていますが、国と地方との役割分担や権限に伴う財源移譲については十分な議論が必要と考えています。また、大阪府においても市町村への権限移譲に向けた動きが進められています。本市としては、市民サービスの向上につながるものから順次、受け入れに向けた検討を進めていきます。
Ⅲ これまでの取り組みと今後の展望
平成19年9月に混乱の中で市長に就任して以来、何よりもまず、清潔、公正な市政の推進を自らの政治姿勢としながら、市政の着実な継承と安定的な発展に力を注いできました。
談合問題が起きたことを重く受け止め、外部の専門家による談合防止対策委員会の提言などを踏まえ、契約事務を中心に、公平性、競争性、透明性の向上を図る対策を講じるなど、事務処理の適正化を徹底するとともに、内部通報制度などによってコンプライアンスの推進を図り、市民の皆さんから信頼される市役所づくりに努めてきました。この間、本市にとって長年の懸案課題であった東部清掃工場と新火葬場を予定通り完成させることができ、両施設とも順調に稼動しています。また、楠葉中宮線、枚方藤阪線など幹線道路の整備に加え、国に対して周辺環境に配慮した形での整備を粘り強く要望してきた第二京阪道路が3月20日に待望の全線開通となり、広域道路ネットワークが実現します。
また、学校教育では、校内LANの整備を進めるとともにPFI方式の活用によって全小・中学校の教室にエアコンの整備を行うなど、教育環境を高めました。
こうした市民生活に密着した事業を着実に継承しながら、新たな施策の展開として、学校の耐震改修を進める一方、学力向上に向けた放課後自習教室など教育内容の充実に取り組んでいます。
また、小児科をはじめとする救急医療や周産期医療など公的病院としての役割を果たすため、市民病院の建て替え事業に着手しました。
さらに、大阪府有地と村野中学校跡地との交換により、枚方西高等学校跡地にスポーツの拠点施設を、また楽寿荘敷地に保育所を整備することにしています。
このように、公約に掲げた大半の事業について取り組みを進め、また、実現できたことは市議会や市民の皆様のご協力のお陰であり、改めて感謝申し上げます。
今後も、市民生活の安定を図るという喫緊の課題に対応しながら、同時に、将来を見据え、市民が誇りや愛着を持てるまちとしての魅力を高める取り組みを進めることが重要です。その観点から、長期的な財政見通しを示しながら、今と未来の両方をみつめる視点をもち質実にして、ここぞというときは先見性をもって未来に果敢に投資する、積極的な市政運営を行っていきたいと考えています。
Ⅳ まちづくりの基本方向
「住みたい、住み続けたい枚方」を実現
平成22年度は景気の低迷で市税の減少が予測される中で、国の地方財政対策を有効に活用するとともに、引き続き、人件費や経常経費の節減を図り、「市民生活の安心と安定」「輝きと魅力の創出」「都市経営サイクルの確立」の3つの柱をまちづくりの基本方向として、「住みたい、住み続けたい枚方」の実現をめざしていきます。
1.市民生活の安心と安定
景気や雇用が低迷して市民生活も厳しさを増している現状を踏まえ、「市民生活の安心と安定」を最優先課題に市政運営を進めます。
厳しい経済状況にあって、セーフティネットである社会保障制度については国に十分な責任を果たすよう求めていくとともに、生活保護については適切な運用に努めていきます。
また、道路・公園をはじめとする公共施設の改修など、市民生活に密着した公共事業を積極的に実施し、工事発注を拡大することで地域経済対策や雇用創出につなげていきます。
市民の命と健康を守る拠点である市民病院については、引き続き、医師・看護師など医療スタッフの確保を図り、経営の安定化に努めながら、救急医療や周産期医療など重要な役割を果たしていきます。市民病院の建て替えについては、平成25年度の開院をめざして着実に進めます。
少子化が進む中で、安心して子どもを産み、働きながら子育てができるよう保育所の待機児童の解消を最優先に取り組むとともに、新たな子育て支援にも取り組みます。
一方、高齢者福祉については、介護保険サービスに加え、市独自のサービスの充実に努めるとともに、在宅介護が困難な高齢者のための施設整備に取り組みます。
新型インフルエンザ対策では、昨年策定した対策行動計画に基づき、大阪府や医療機関などと連携し、迅速、的確な対応がとれるよう危機管理体制の強化に努めます。また、一
昨年の記録的豪雨による水害を教訓に浸水対策を進めるとともに、引き続き、公共施設の耐震改修や地域の自主防災活動への支援など、被害を最小限に抑えられる災害に強いまちづくりを進めます。
2.輝きと魅力の創出
厳しい時代の中で、喫緊の課題に着実に対応していくことはもちろんですが、同時に、未来を見据え、枚方の個性や特色を生かし、さらに磨きをかけながら、41万都市の風格にふさわしい「輝き」と「魅力」を創り出し、市内外に発信していくことが大切です。そこで、「人を育む教育都市」「人をつなぐ文化都市」に、「人が元気な活力都市」「人にやさしいエコ都市」を新たに加え、4つのまちづくりビジョンとして掲げ、市民の皆さんと協力して輝きと魅力ある枚方をめざしていきます。
◎人を育む教育都市
教育は次世代育成の大きな柱で、まさに未来への先行投資であり、希望であります。
学校教育においては、教育環境の整備に向け、平成22年度中に全小・中学校の耐震化を完了させ、安心安全な学校を実現するとともに、校舎などの増改築を計画的に進めます。
また、豊かでたくましい心を育むための「心の教育」を大切にしながら、学力の向上を重点に、子どもの学びの連続性を踏まえ、小・中学校が連携して義務教育9年間を見据えた指導を行います。経験豊かな教育推進プランナーの配置を拡充して「教師力」の向上を図るとともに、全国に先駆けICT機器を活用した放課後自習教室を充実します。
「確かな学力」「豊かな人間性」「健康と体力」の育成を基本に、子どもたちの生きる力を育み、「枚方で教育を受けさせたい」「枚方で学んでよかった」と感じてもらえるまちをめざします。
また、市内に6つある大学は、まちにとっても大切な知的基盤であり、今後も連携を密にしながら市民の生涯学習の機会を拡充していきます。
◎人をつなぐ文化都市
音楽、美術、演劇、伝統芸能など市民の多彩な文化芸術活動は枚方の大きな特徴であります。2月6日に開催した「名誉市民・森繁久彌さんを偲ぶ会」が市民参加で温もりのあふれたものとなったのも、こうした市民の文化芸術活動の基盤があったからこそで、枚方の市民エネルギーは本当に素晴らしいと改めて感じました。
「心の豊かさをもった、温もりのあるまちであってほしい」という森繁さんのふるさと枚方への熱い思いを受け止め、市民主体の文化芸術活動を積極的に支援するとともに、長期的な展望のもと、活動拠点となる総合文化施設の建設の検討を進めていきます。
また、市内に残る文化財や伝承文化も有効に活用し、地域で受け継がれてきた歴史が今に息づくような、ふるさとの香りあるまちづくりをめざします。
あわせて、まちづくりに取り組む市民や事業者の皆さんと協力して、「花と音楽にあふれたまち」という都市ロマンも追い求めていきたいと考えています。
◎人が元気な活力都市
経済が低迷し、社会の先行きに明るい展望が見い出せない困難な状況が続いていますが、こうした時期だからこそ、枚方市政がめざす目標は、厳しい現実にしっかりと目を向けながらも、常に前向きに市民に明るい希望を与えるものでなければならないと考えます。私自身、元気さや明るさが持ち味で、枚方の「まち」と「市民」を元気にしたいと思っており、新年度は、「元気」と「活力」をまちづくりのキャッチフレーズに、明るく元気な枚方をつくっていきます。
第二京阪道路の開通を地域経済の活性化への大きなチャンスととらえ、引き続き、市内のものづくり事業者や中小企業を支援していきます。また、人が集まる牧野、長尾の各駅で駅前広場の整備を進め、地域の活力を引き出すとともに、今年3月で改良工事が完成する岡東中央公園については四季の花に囲まれた市民交流の舞台として有効に活用していきます。
まちが元気であるためには、そこに住む人が元気でなければなりません。市民のスポーツ・レクリエーション活動を支援するため、枚方西高等学校跡地の取得などによりスポーツ施設の確保に努めるとともに、ウォーキングなど幅広い世代の市民が参加できる事業も展開し、市民の健康づくりを促進します。さらに、校区コミュニティ協議会やNPO、市民団体などが行う自主的な活動を支援し、子どもから高齢者までが地域で人と人とのつながりを持ち、元気でいきいき輝ける環境づくりを進めていきたいと考えています。
◎人にやさしいエコ都市
昨年、政府は2020年度までに二酸化炭素(温室効果ガス)の排出量を25%削減するという方針を打ち出し、世界に向けて宣言しました。
環境問題については抜本的な対策は国の責任において進められていますが、身近な取り組みによって一人ひとりの意識を高め、生活を変えていくことは自治体にとっても大切な課題であると考えています。
地球にやさしい、自然と共生したエコ都市をめざすことは、同時に、他人をいたわり、人にやさしいまちをつくることにもつながります。
昨年4月に発足した枚方市地球温暖化対策協議会を中心に、市内事業所と連携して温暖化防止に向けた具体策を展開するとともに、市民、事業者などでつくるひらかた環境ネットワーク会議と協力し、電車・バスの公共交通機関の利用促進をさらに働きかけていきます。
また、焼却ごみについては、引き続き半減化への取り組みを進めるとともに、枚方市グリーンニューディール基金を創設し、低炭素社会に向けた事業を展開します。
あわせて、東部地域に残る豊かな里山の保全や、地元農産物の地産地消の推進などにより、地球と人にやさしいエコ都市をめざしていきます。
3.都市経営サイクルの確立
私は、就任後の所信表明で、「住みたい、住み続けたい自治都市・枚方」を築くことが目標と述べさせていただきました。ここで言う「自治都市」とは、議会制民主主義を基本としながら、自助、共助、公助の考えのもと、自発的に考え、行動する市民とともにまちをつくりあげることであります。そのためにも、引き続き、行政としての効率化を進めながら、都市経営の視点をもって、緊急的な対策とともに未来への先行投資や、市民との連携による魅力の創出などに取り組んでいきます。
「自治都市・枚方」の実現に向け、新たに都市経営サイクルの構築をめざします。この仕組みは市民参加による施策評価に加えて、「事業仕分け」の試行により、市民の視点で施策や事業の成果をより客観的に評価し、その結果を施策の推進、見直しや構造改革につなげていくものです。これを確立することにより、市民の市政に対する満足度、納得度を高めていきたいと考えています。
Ⅴ「自治都市・枚方」の実現に向けて~平成22年度の主要な施策~
次に、6つの政策分野について、その方向性と主な事業を述べさせていただきます。
1 未来を担う子どもの健やかな成長と学びを支えます
未来を担う子どもたちの健やかな成長を支え豊かな感受性や夢を育み、自ら学び向上することができるよう、教育環境をさらに充実していきます。
安心して子どもを産み育てる環境の充実をめざし、乳児が生後4か月を迎えるまでの間にすべての家庭を対象に訪問し、育児の不安や悩みの相談、子育て支援サービスの情報提供を行います。また、親子の健康づくりを支援するため育児相談を充実します。赤ちゃんとの外出を支援するため、新たに授乳室を設置する店舗などへ補助を行うとともに、授乳室やおむつ替えのできる店舗を紹介した「赤ちゃんお出かけマップ」を作成します。地域で子育て支援活動を行う「子育てサポーター」を養成し、その活動を支援します。
保育所待機児童の解消に向けて、公私立保育所で110人の定員増を行うとともに、私立保育所の施設整備などにより、さらなる定員増を進めます。保育環境の充実を図るため公立保育所の耐震診断やトイレの改修などを行います。幼児教育や子育て支援の充実をめざして、公立幼稚園の役割を明確にするとともに、効果的、効率的な運営をめざし、再編も含めたあり方について検討を進めます。
蹉?保育所を楽寿荘敷地へ移設し、民営化を進め、平成24年4月の開設をめざします。あわせて、保育所の定員を増やします。
子どもたちの健やかな成長を支援するために、枚方版ブックスタート事業を継続して実施するとともに、地域の子育て拠点や公私立保育所において、絵本を購入し、乳幼児が絵本とふれあう機会を増やします。
次代を担う子どもの夢を育み、豊かな心や創造性を育むため、こども夢基金を活用しトップアスリートとのふれあい事業やピアノコンサート、劇団員とともに演劇づくりから舞台発表までを体験する「演じてみて観て感じるワーク事業」などを実施します。
小・中学校の教育環境の充実を図るため、平成22年度には全小・中学校で耐震化を完了します。また、過密校の解消に向け蹉?中学校に4教室を増築します。第三中学校は、平成23年度の2学期には新校舎での授業を開始できるよう、新校舎の建設工事に着手します。老朽化した学校給食調理場については建て替えの検討を進めます。
小学校における少人数教育の充実を図るため、小学校第3学年で35人を超える学級に対して、少人数指導推進教員を配置し、小学校全学年できめ細かな教育を進めます。
電子黒板やプロジェクターなどのICTを活用し、児童生徒の関心を高め、インターネットや映像などでよりわかりやすい授業を進める教育環境の整備を行います。また、学校図書の充実に向けた取り組みを進めます。
義務教育9年間を見据えた取り組みとして、中学校の教師が小学校で授業を行い、また、小学生が中学校で授業を体験するなど、小・中学校の連携事業を進めます。
「ともに学び、ともに育つ」を基本とした小・中学校の支援教育を充実させるとともに、村野中学校跡地で大阪府が開設する支援学校について引き続き協議を進めます。
留守家庭児童会室での開室日を250日に拡大し、放課後における児童の生活の充実や保護者の就労支援の拡充を行います。障害のある児童の対象学年の拡大については、引き続き、夏休みの間試行します。「ふれ愛・フリー・スクエア」については、地域の実状にあわせて活動できる仕組みを取り入れるとともに、より地域の自主性を尊重した制度へと見直しを進めます。
2 安心・安全に暮らせる地域社会を築きます
すべての市民が住み慣れた地域で安心して安全に暮らせるよう、大規模な自然災害に対する備えを充実するとともに、生命と健康を守る施策をさらに充実します。
開設60周年を迎える市民病院については、市民の生命を守る公立病院としての役割を果たすため、引き続き「市立枚方市民病院改革プラン」の目標達成に取り組むとともに、医療相談業務の充実を図ります。市民病院の建て替えについては、取得した用地の文化財調査と建物の実施設計を行い、平成25年度の開院をめざし、その整備を進めていきます。
北河内地域の小児救急医療体制の充実に向けて、北河内夜間救急センターなどのあり方について、広域的に検討を進めます。
新型インフルエンザの対応については、関係機関と連携し予防対策について情報発信や啓発に努めます。
犯罪や事故を防ぎ安心で安全な暮らしを守るため、新年度から建設に着手される「枚方第二警察署」の整備事業にあわせ、府道交野久御山線の歩道整備について、引き続き大阪府に働きかけていきます。
緊急地震速報や有事関係などの緊急情報を市民に伝達するため、全国瞬時警報システム「J-アラート(ALERT)」を整備します。自主防災組織の継続的かつ効果的な地域防災活動を推進するため、地域防災リーダー育成事業を実施します。また、枚方寝屋川消防組合において24時間体制で医師や看護師が救急医療相談や救急車の出動が必要かの判断を行う「救急安心センターおおさか」事業に参画していきます。
近年の局地的な豪雨に備えるため、排水路や雨水管の整備を計画的に進めます。また、雨水の急激な流出を抑制するため、東船橋地区において貯留施設の設置を行い、新安居川・蹉?ポンプ場でポンプの増強や改良を実施するなど、浸水被害の軽減に向けた対策を進めます。
大規模災害に備え、市民の生命を守る飲料水を安定して供給するため、春日受水場の耐震化に向けた実施設計に取り組むとともに、田口山配水場の緊急遮断弁設置工事を実施します。また、中宮浄水場と田口山配水場間の送水ルートの二重化を引き続き実施します。
3 地域福祉を推進するとともに、市民の生活と人権を守ります
すべての人が健康でいきいきと生活できるまちをめざし、地域福祉を推進するとともに、一人ひとりの人権が尊重される社会の実現のため、人権意識の普及や啓発に取り組みます。
地域福祉の計画的な取り組みを進めるため、「枚方市地域福祉計画(第2期)」を策定します。経済不況が原因で生活保護世帯となった受給者については、就労支援員を増やすなど早期自立に向け体制の強化を図ります。あわせて、健康相談や医療・介護相談に対応するため、健康管理支援員を配置します。また、急増する多重債務問題については相談体制を充実し、関係機関との連携強化を図ります。
安心して子どもを育てることのできる社会をめざし、「第二次ひとり親家庭等自立促進計画」を策定します。
本市における自殺予防対策として、電話相談を実施するとともに、自殺予防にかかる人材育成研修や啓発事業にも取り組みながら関係機関との連携強化を図ります。
高齢者福祉の向上を図るため、「ひらかた高齢者保健福祉計画21(第4期)」に基づき、小規模特別養護老人ホーム2か所を整備するほか、認知症対応型グループホームやショートステイ機能も有した小規模多機能居住介護事業所の整備も行います。
介護予防の観点を踏まえ、ひらかた体操の普及・啓発を行うとともに、街かどデイハウスなどにおいて介護予防普及啓発事業を充実します。また、認知症の人を見守るネットワークを構築するなど地域で見守る仕組みを強化します。
老人福祉センター楽寿荘において、高齢者が安全で快適に利用できるように、耐震化やバリアフリー化などのリニューアル工事に着手します。
また、高齢者の円滑な移動を支援するための事業の充実について検討を進めます。
障害者自立支援法の施行に伴う特別対策として、事業者に対する運営の安定化などを図る措置を講じるとともに、通所・短期入所に必要な送迎サービスの助成を実施します。障害者の就労支援については、ジョブコーチを養成するとともに、職場実習を通じた障害者の雇用機会を創出します。聴覚障害者に対しては、地上デジタル放送への移行にあわせ、情報受信装置の購入を助成します。オストメイトトイレについては、保健センターに設置します。
また、国の新たな制度が確立するまでの間、非課税世帯の障害者に対する移動支援や日常生活用具などの地域生活支援事業にかかる利用者負担を無料にします。
生活習慣病などを早期に発見し、市民の健康維持・増進を図るため、特定健康診査の受診率向上を目的とした休日健診を行うとともに、円滑な特定保健指導に努めます。あわせて、がん検診についても受診を促進するため、一部を個別医療機関での検診に変更します。
妊娠中の母体や胎児の健康管理を支援するため、妊産婦健康診査事業の拡充を行います。
あらゆる人権侵害に対応するため、ひらかた人権協会などの関係機関と連携し、人権施策を推進します。
男女共同参画社会の形成を促進するため、新たな男女共同参画計画を策定します。
また、ハンセン病回復者に対する偏見と差別のない社会の実現に向けて、講演会の開催やリーフレットの作成など啓発に取り組みます。
4 地球環境とともに、地域の自然や住み良い都市環境を守ります
環境にやさしいまちをめざし、地球温暖化防止に向けた取り組みやごみの減量化を進めるとともに、市内の貴重で身近な自然と共生できる住み良い環境づくりを推進します。
環境共生社会の実現をめざし、「枚方市環境基本計画」の改定を行います。地球温暖化対策については、「枚方市地球温暖化対策協議会」と連携して、市民・事業者・行政がともに省エネルギー化を図るため「ライトダウンキャンペーン」を実施するとともに、日常のライフスタイルを見直すため「ひらかたエコチェックDAY」の取り組みを進めます。
枚方市グリーンニューディール事業として、枚方市駅、樟葉駅周辺の街路灯のLED化や住宅のエコリフォームへの支援を行うとともに、庁舎空調熱源機器の更新を行います。
また、公用車についてエコカーを導入したり小学校6校と開成小学校の体育館において太陽光発電設備を設置するなど、省エネルギー化に向けた対策を講じ低炭素社会の構築をめざします。
循環型社会の構築に向けて、東部清掃工場において粗大ごみ処理施設を新設するとともに、資源物の回収を進め、さらなるごみの減量化を推進します。
都市農業を振興し、地産地消を推進するため、引き続き市内各所においてふれあい朝市を支援するとともに、エコレンゲ米などの枚方エコ農産物の流通拡大を進めます。市民に安全で安心な農産物をより多く供給することを目的として、枚方市駅周辺において、いわゆるこだわり商品を扱う新しい市場「マルシェ」を商店街や地域と連携して開催します。環境にやさしく、都市と調和のとれた環境保全型農業を促進し、「レンゲ栽培田」の美しい景観を広げるなど、農空間の保全に努めます。
東部地域の豊かな自然を守り、里山を保全していくため、多くの市民が自然とふれあえるイベントを開催し、作成したマップを活用して広く情報を発信します。また、東部において森づくり委員会の取り組みを推進するとともに、氷室地区においては、里山道の整備を進めます。
きれいなまちを実現するため、地域やアダプトプログラム参加団体への支援を行います。良好な街なみの整備と歴史的な景観の保全を図るため、「石畳と淡い街灯まちづくり支援事業」により枚方市駅周辺の街路灯の整備を行うとともに、「枚方市都市景観基本計画」の改定に取り組みます。
身近な自然と生物の生息空間を確保するため、王仁公園ビオトープ整備事業に着手します。東部スポーツ公園については、周辺の環境と調和した緑豊かな公園とするため、環境影響評価調査に向けた基本設計を行います。また、市の玄関口としてリニューアルした岡東中央公園と印田町ふれあい公園の供用を開始します。「緑の基本計画」に基づき、「緑」を保全・創出していくため、市民・事業者・行政がともに取り組むことができる「緑のガイドライン」の検討を進めます。
5 歴史・文化を生かし、市民の生涯学習を支援します
市内にある歴史文化遺産を活用した取り組みを進めるとともに、市民の主体的な生涯学習活動や文化芸術活動、スポーツ活動を支援し、活力のあるまちの魅力を創出します。
枚方宿地区においては、より魅力ある街なみの環境整備を進め、本陣跡周辺にふさわしい三矢公園のリニューアルを進めるとともに「枚方宿地区まちづくり協議会」と連携し、すでに定着した五六市や町家情報バンクの取り組みをさらに拡大します。
特別史跡百済寺跡については再整備に向けた発掘調査を進め、基本構想の策定に着手します。また、楠葉台場跡の保存・活用については、予定されている土地区画整理事業と連携を図り整備構想の検討を行います。「(仮称)九頭神廃寺史跡公園」東側部分の供用を開始し、引き続き西側部分の整備を進めていきます。
花にあふれたまちづくりに向けて、楠葉中央線や枚方藤阪線など、市内の道路に花や花木などの植樹を進め、身近に花を感じるまちづくりを進めます。
市の花「桜」については、船橋川及び穂谷川の自然巡回路や国見の丘公園で桜の植樹を行うとともに、開花情報の発信やPRコーナーを設置し、地域の人たち、商店街、ボランティア団体と連携し、桜を活用したイベントを引き続き開催します。また、市民が身近に「菊」に親しむまちづくりを進めるため、「菊文化創造プラン」を改定します。
秋の恒例イベントとなった「ひらかた菊フェスティバル」では、岡東中央公園からひらかたパーク前まで区域を拡大し、菊花展や市民菊人形をはじめ、「枚方宿ジャズストリート」や、市内6大学・高等学校合同音楽祭などと連携し、枚方の歴史文化遺産などまちの魅力を広く発信する取り組みを進めます。また、淀川河川公園で実施する舟運の再生に向けた取り組みを市民とともに魅力的なものにしていきます。
人形劇フェスティバルや枚方市民メサイア公演などの市民芸術文化活動を支援します。
市民の生涯学習を支援する図書館づくりに向けて、「枚方市立図書館第2次グランドビジョン」を策定します。青少年活動をより一層支援するため、枚方公園青少年センターのあり方について見直しを行います。市民の生涯学習の機会を創出するため、引き続き大学や事業者と連携し取り組みを進めます。
市民に本市の友好都市を広く知ってもらい、交流の輪を広げるため、国際交流として、上海市長寧区と行政や市民の交流を行います。また、国内交流として、名護市の市制施行40周年式典や友好都市サミットに参加するとともに、四万十市への市民訪問ツアーの実施や、友好都市・市民交流都市のイベントなど情報を広く発信していきます。
市民の健康や生きがいづくりを支援するため、市民が身近にスポーツ・レクリエーションに親しめる取り組みを推進するとともに、市内各地で行われているウォーキングの取り組みについても情報発信し、各種ウォーキング団体と連携した取り組みを進めます。また、枚方西高等学校跡地については、体育館の改修やテニスコートの整備などを順次進めます。
サプリ村野については、市民のまちづくり活動などの拠点とするため、施設活用基本計画を策定し、施設の耐震化やバリアフリー化の検討を行います。
戦争の悲惨さと平和の尊さを次代に伝えるべく、旧陸軍の香里製造所にあった妙見山煙突の耐震補強工事を行い、平和のシンボルとして保存します。
6 都市基盤の整備を進めるとともに、市内産業の活性化を図ります
市民生活の向上を図るため、雇用促進や緊急経済対策など市内経済の活性化を図ります。
都市の機能を高め、快適で憩いのある生活空間を確保するため、道路や下水道などの都市基盤の整備を行い、良好で計画的なまちづくりを進めます。
長引く経済不況を踏まえ、経済対策として、「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」を活用し、道路や公共施設の改修を行うとともに、雇用対策として、「緊急雇用創出基金」などを活用し、雇用の創出を図ります。加えて、本市独自の取り組みとして、非常勤職員などを雇用するとともに、市民生活に密着した工事発注の拡大を図ります。
市内商業の活性化と振興を促進するため、商店街の魅力向上やイベント開催などの取り組みに対する補助制度を拡充します。また、中小企業の情報発信を支援するため、地元ケーブルテレビで番組の制作・放送を実施します。市内の中小企業が広く利用可能となるよう、景気対応緊急保証制度の信用保証料補給事業を実施します。太陽光発電設備や工場内照明のLED化など、環境対策に向けた設備投資を行うものづくり事業を奨励する「エコ」工場化促進奨励金事業を創設します。
市内の地域における特性を活かしたまちづくりを計画的に進めるため、都市づくりの指針となる「枚方市都市計画マスタープラン」を改定します。また、計画的で良好なまちづくりを誘導するため、区域区分や用途地域の変更手続きを実施するとともに、まもなく開通する第二京阪道路沿道における茄子作・高田地区について、土地利用の可能性調査を実施します。
本市の玄関口としてふさわしいまちの将来像を示すため、枚方市駅周辺について、再整備ビジョンの策定に取り組みます。
牧野駅の駅前広場整備を進めるとともに、駅前再開発の平成23年度末完成をめざし事業を実施します。長尾駅の駅前広場整備事業に伴う駅舎の橋上化に着手します。津田駅東口周辺整備については、事業促進に向け、自転車駐車場の設計を実施します。また、村野駅と星ヶ丘駅のバリアフリー化を行い、枚方市駅周辺の歩道についても引き続きバリアフリー化に取り組みます。
枚方公園駅から香里園駅までの連続立体交差事業については、引き続き大阪府や寝屋川市と連携し、都市計画決定の手続きを進めます。あわせて、沿線のまちづくりについても、具体化に向けた検討を行います。
道路整備については、安全で安心な歩行空間を確保するため、枚方藤阪線の天津橋西側、渚中宮線、阪八幡線の歩道整備を実施します。また、楠葉中央線や岡東山之上東1号線などの道路リフレッシュ事業のほか、市内各道路の異常点検補修事業を実施します。枚方市駅南口において歩道橋の改修事業に着手します。御殿山小倉線については、都市計画変更に向けて取り組みを進めます。府道杉田口禁野線、枚方茨木線について、引き続き整備促進を大阪府に働きかけていきます。
下水道整備については、計画的に進め、整備済区域での水洗化の促進に取り組みます。
あわせて、市民サービスの向上を図るため、下水道特別会計の経営改善をさらに進めるとともに、地方公営企業法の適用や上下水道の組織統合に向けた取り組みを行います。
市有建築物の安全性及び機能性を維持し延命化を図るとともに、財政負担の平準化を図りながら計画的な改修を進めるため、市有建築物の保全計画を策定します。
Ⅵ 終わりに
平成22年度の予算につきましては、一般会計予算は1,092億円で昨年度に比べ66億円、率にして6.4%の増となっています。増加の主な要因としては、子ども手当の創設や生活保護費の増加によるものです。一方、景気低迷の影響により、歳入の根幹である市税については、さらに厳しさが増すものと予測されます。予算編成にあたっては、こうした財政状況においても財政規律を保ちつつ、重要な施策を着実に推進し、躍進の年にするという決意を持って行いました。
今、世界的な不況の中で、地域経済や市民生活が厳しい状況にあることを踏まえ、新たな都市経営サイクルのもとでさらなる構造改革を進めるとともに、市民のニーズに則した施策をより効果的・効率的に実行し、市民の皆さんとともに「人とまちが元気で活力のある枚方」の実現をめざし、全力で取り組んでまいります。
市民ならびに議員の皆さんには、引き続きご理解とご支援をいただきますようお願いを申し上げ、平成22年度の市政運営方針とさせていただきます。